ISO/TC139春季国際会議の審議の進行について紹介します。各国の利害関係者の意見集約を反映したISO会議なので審議の進行のベースは、規格案に対する各国からのコメントの審議ですが、コメントを出した当該国がコメントの内容を強く主張する又は他国が反対または賛成する、ということだけではありません。
WGごとに様々です。このことは実際に会議に出席していただいて発言を聞く、発言者の息吹を感じていただくことが一番です。このことを通じて議事録に記載されていることがよりよく理解していただけると思います。(ただし勿論、会議への出席にはお金が掛かります。そこで...)審議の進行に関する報告を出席者された方がWGの議事録も使いながら行うと思いますので、ここで紹介する事例を参考にしていただけれと存じます。
5月14日(木)のWG5の審議の進行ついての紹介です。
添付していますのはISO/DIS12643-2の投票時のコメント一覧の抜粋です。コメント整理番号61(日本のコメント)とコメント整理番号76(ドイツのコメント)を事例として試みました。
sample_from_WG5_spring_meeting_bologna_20150514
番号61は印刷中に発生する「紙粉」への対応に関しての日本のコメントです。紙粉の除去装置の有無ついての日本のコメントに対して、審議の中では賛成や反対ではなく、安全面からどうすれば適切なのかということに焦点となり審議が進行、日本の主張する規定から推奨への変更に対して、除去装置の設置を準備する、ということで纏まりました。
番号76はkeypadの採用についてドイツから説明するというコメントでしたが、ドイツの出席者は説明するよりも寧ろWG5本来の安全という観点でドイツのコメントを解説、その結果ただち採用するのではなくて、将来の課題、という見解を表明していました。
WG5は印刷機械の安全規格を担当していますので、規格に対する各国の利害関係者のコメントは尊重するものの、必ずしも各国のコメントの採否に終始するのみならず、WG5本来の役割も果たすことにも配慮した審議を進めています。
会議に出席していますと、こういった多くの要素を含んだ各国の委員の意見の応酬で審議が進行していきます。
写真の左から福田WG5主査(長岡科学技術大学教授)、五野委員(コニカミノルタ)、唐沢委員(セイコーエプソン)、WG5コンビナーのGeorge Karosas氏、事務局のRoger Starke氏です。